新人のローテーション研修とは
ローテーション研修とは、新人看護師さんの離職防止につなげるために、チーム全体で新人を指導していくという考えのもとにできたものです。
マンツーマンで教えるプリセプター制度はあるものの、プリセプターにだけに新人の教育を任せるのではなく、新人看護師さんたちを全体で大切に育てていきましょうというようなものです。
新人看護師さんたちは、このローテンション研修では、数週間、何クールかに分けて、配属先以外の部署を回って研修を受けることができます。
配属部署以外での看護技術の習得にもつながり、本格的な体験ができるというものです。
病院によっては、1年ほどかけて新人看護師さんたちがローテーションで様々な部署を経験していくというようなところもあります。
急性期病棟で勤めている人、慢性期病棟で勤めている人、それぞれがその部署でできることは限られていますが、他の部署を経験することでその差も縮まります。
各病棟において、患者さんの看護を学べる良い機会となるのです。
新人看護師にとってみれば、普段は学ばない部署での看護に触れることで、自分の配属先での活かせることを学べたり、他の部署でどんなケアをしているのか、技術が必要なのかを視野を広げて学ぶことができる制度でとても貴重な体験ができます。
ローテーション研修をきっかけに将来は〇〇科に進みたいといった希望も出てくることもあるでしょう。
現場ではローテーション研修が負担になっている!?
最近では、このローテーション研修制度を取り入れ始めている病院も多くなってきました。
でも、その一方で指導する立場である中堅看護師にそのしわ寄せがいっていることがあります。
新人看護師がどんどん入れ替わり立ち替わりしてしまうため、毎日、毎日、指導ばかりといった状態になってしまい、通常業務の2倍、3倍と業務量が増えてしまうことがあります。
教える側の看護師も、新人看護師に目をかけていきたいという思いはあっても、通常業務が忙しければ新人看護師のことを放置せざる負えません。
このローテーション研修が新人看護師のためのシステムだということは理解できても、負担を抱えている中堅看護師をフォローするような仕組みは何もないのです。
新人看護師の離職が減ったとしても、業務量が増えてしまったら中堅看護師が燃え尽きてしまうことも考えられます。
毎年、5月くらいからローテーションが始まることが多く、この時期の中堅看護師さんたちは不満がとてもたまっていることが多いのです。
このローテーション研修制度は今後も拡大、継続されていくようで、新人看護師さんにとっては期待できることもたくさんある反面、指導する立場の看護師さんたちは疲弊してしまわないようにもっとフォローしていくような仕組みがあっても良いはずです。
実は新人看護師にとっても負担に!?
このローテーション研修ですが、中堅看護師だけでなく、実際に受ける側の新人看護師にとっても負担になっているということもあるようです。
いろいろな部署を数か月、あるいは1年かけて回るため、結局慣れずに仕事も覚えられないままということがあるのです。
新人看護師によっては、点滴も下手なままだったり、要領がつかめないままだったりすることもあるようですね。
新しい部署に行けば、また一から業務を覚えたり、人間関係を築いていかなければいけませんからストレスも抱えやすくなります。
雰囲気に馴染むことにも新人の場合は時間がかかるのに、技術や難しい患者の対応をしなければいけません。
ローテーション研修が合う人であればいいのですが、中にはそうした理由からローテーション研修がつらい・・・と感じてしまうこともあるでしょう。
本来は、新人看護師さんの離職を防止するためのものなはずなのに、ローテーション研修がつらくて退職者が出たのであれば意味がないですよね。
ローテーション研修には、メリットもデメリットも両方あるようです。